混沌を解いたところで簡単な現象にはならない/ホロウ・シカエルボク
 
の個体がそいつの正しい形なのか、それすらも判らなかった、「判らないものを数えている」と俺は認識していた、それは、とても恐ろしい認識だったと言わざるを得ない、それは実際、とても恐ろしい認識としか呼びようのないものだったよ、俺は判らないまま数えていた、あまりよく覚えていないけれど、全部で三百近くはあったんじゃなかっただろうか、それが終わるとだだっ広い体育館に居た、どこが入り口なのかも判らないくらい大きかった、早朝のような冷たさと薄明るさ、それからもやのようなもので充満していた、もやのせいかどこか、山の中にある建物を連想させた…小学生のころ、そんな建物に何度か泊ったことがある、そんな記憶のせいだったのか
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