混沌を解いたところで簡単な現象にはならない/ホロウ・シカエルボク
俺は衝撃で一度完全に気を失ったのさ、その間なんだかよく判らない夢を見ていた、難しい数式と古典文学が蛇の交尾みたいに絡み合ってのた打ち回っていた、それはそんな風にしか表現しようのないものだった、血の臭いがして…あるいはそれは現実に俺の顔を汚していたものの臭いだったのかもしれないけれど、それは俺にある種の「停止」を予感させた、「死」ではなく「停止」だ―機械油が漏れるみたいな、そんな印象があったのかもしれないな、それに、実際のところ、それはまさしく停止と呼ぶにふさわしい状態ではあったわけだ―感覚的にね…そして俺は見たことのない生き物の死骸を数えていた、それはどれもこれも激しく損傷していて、いったいどの個
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