千年の海/田中修子
いきました。
同時に、部屋は奥行きを持ち出しました。黄色い砂に覆われた床が、膨張し、すぐそこにあった壁がものすごい勢いで遠ざかる。
そこまでなったとき、私は大学へ行くのも、外出するのもやめました。もともと玄関だった場所で、ただそこだけ残った鉄の扉に背中を預け、砂漠をぼんやりと眺めていました。
扉は、砂漠のまっただなかにぽつんと立っています。私はこの砂漠のヌシなので、飲まず食わずで生きていけます。暑さ寒さは感じますけれど、死に私を導くことはありません。服装も、ワンピースだったのがいつの間にか頭にターバンを巻き、オレンジの布を体いっぱいに着込んでいました。
時間というものがここ
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