千年の海/田中修子
ここではねじれるようで、もう、いつだったのかよく覚えていないのだけれど、砂漠が作られてから、まだ、そんなにたたないうちだったと思います。
連絡がとれない私を心配して(電話機はとっくに一抱えもあるような岩に変わっています)、付き合っていた人が尋ねてきました。合鍵をつかっていきなり踏み込んできたのです。小さいけれど上品そうな、美しい赤い袋を持っているのが、不吉に私の目には映りました。
もう会わないつもりでした。私は砂漠の中での、時の流れているかそうでないか分からない生活が気にいっていたのです。
昼は雄大な砂漠の中をふいてきた風、強い日差しにあたって皮膚が沸騰するようにめくれる痛みに、飲
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