メリーゴーランド/水菜
私は、窓を開けたが、そこから広がる世界を私は、知らない。
何故なら、私は、斜め上に見える私が窓を開けている姿を見ている私だからだ。
下から見上げた私は、非常に透明な床の上にたっており、透けているように見える窓枠から、窓を開け、外を見ようとし、
何かを目にしている。真っ直ぐな視線をそのまま固定して、身動きしようとしない私が、何を見ているのか、その対象のものを、私は、知らない。
私は今、見上げる形で私を見ているのだから、私の感触は、私の元にあるはずであるのだが、しかし、私の手の感触は、今まさに、開けた窓枠に触れている手のひら、触れる窓枠の温かみとざらりとした手触りを感じている。
下から見
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