父が書いた詩/岡部淳太郎
 
の池の中に
大地はこれを見、聞き、而して黙していた
   空には月が輝き 星が笑つていた
遠く、近く、弱く強く、万古不滅に

そして今とくと見よ
   そこには緑したたる若葉の木蔭
    清冽玉をなす紺碧の流れ
金波銀波とおし寄せる憩いの原に
   人には幸福に歌いさざめき
美しい恋と、友情と、真実と、自由と
   そして又善良なる支配者と
だがよも知るまいの
   御身等が足下に横たわる
    血の流れと骨の山とを
奇しくも大地は黙し
   月は輝き 星は笑ふのみなるが故に}
 一読して意味が読み取りづらいが、長い年月の上に立つ現在という時をうたっているのだ
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