そうしてぼくはランナーとして/天野茂典
ぼくは一人で
河原を走りこんでいた
マラソン大会ですぐ腹が痛くなって苦しくなったが
走り込みで今はもう腹の痛みはなくなっていた
クロスカントリーのように父は
アップダウンを 直線距離を
バイクの速度でぼくをひっぱった
5キロ 10キロ 15キロ 20キロ
25キロ
30キロ 40キロ
距離は次第に長くなった
どこをどう走ったのか分からない
父は無言の激励で少しづつぼくをランナーに近づけてくれた
長距離を走ると筋肉が張る
苦しい顔で
もがきながら
父のバイクについてゆく
よくついて行ったと思う
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