そうしてぼくはランナーとして/天野茂典
 

  ぼくもまけず嫌いだから
  もうやめてくれとはいわなかった
  親子だから意志が通じたのだ
  練習は一年近く続いた
  どこを走っていたのかは今も本当に分からない
  苦しくなると電信柱を数え
  目を少し先に落とした
  大学付属男子校
  体育会系
  高校の全校マラソン10キロ
  で600人中11位
  川崎市教職員陸上大会1500mで
  2位
  市の代表に選ばれた
  神奈川県大会で入賞すれば国体出場だったが
  タイムレースで落とされた
  組順では2位だったのだが
  この父と子の
  アランシりトーの『長距離ランナーの孤独』ではないが
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