最後の発明その発光・わたしはかなしかった/初谷むい
わらずくだらない奴だな」
彼が電気ケトルの電源を入れる。少しずつ、水のうめくような声が部屋に充満し始める。
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信じてほしかった。と思う。それは今でもそうだ。ヒロサキユウゴはだんだんわたしを好きになった。それはわたしも同じだった。なんてことないクラスメイトだったのに、ちょっとしたあんなことがあっただけで、そしてそのあと少しの時間を共有しただけで、とりかえしのつかないことが起こる。わたしも彼もかわいい人間だった。そしてヒロサキユウゴは恐れた。わたしが彼を裏切ること、発見を言いふらして彼の立場を脅かすこと。なにより、わたしが彼のもとからいなくなること。当然だけどそ
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