最後の発明その発光・わたしはかなしかった/初谷むい
がそのままにまるでクマのように大きな男になっていること。わたしの視線に気づいて彼が途中で言葉を切り、困ったように笑った。
「……ちゃんと持ってきた?」
「うん」
久々の会話でため口がいちいち引っかかる。
「闇っぽいものも?」
「うん、ベースは何鍋なの」
「トマトにした」
「なんで」
「闇っぽいだろ、それにクリスマスだし」
「なにそれ」
彼ひとりでいっぱいになってしまうような小さなキッチン。
「あったかいのとつめたいのどっちがいい?」
「なんのはなし?」
「飲み物」
「あなたの飲むものを一緒に飲む」
「相変わら
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