最後の発明その発光・わたしはかなしかった/初谷むい
 
れてきた暗闇の中でヒロサキユウゴが目を細める。

「そうだな」

「知ってるでしょう」

「知ってるよ」

その機械、すなわち彼の最後の発明がどういう仕組みなのかはわからなかった。しかしその言葉は呪いのようにわたしの中でずっとうごめいていた。あの日以降、どのようにだったかはもう覚えていないけれどわたしたちは疎遠になり、別々の高校に進学した。わたしは彼のことを時々思い出した。どうしても忘れられなかった。彼の発明のことは急速に記憶から薄れていった。実をいうと彼の発明の歴史はわたしの記憶から得られたものではなく、当時の日記を暗記しただけの話だ。(日記の存在は彼の誤算だっただろう。)彼と過
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