最後の発明その発光・わたしはかなしかった/初谷むい
 
、親指の爪の間に激痛が走った。血が抜けていくとき特有の冷え、そして何かが挿入されたらしい違和感。彼はわたしの指を持ち上げ、口先へ近づけた。



「おれとのことを、忘れてください。



おれのことを、ずっと、忘れないでください」



彼は確かにそう告げたのだった。



?



左手、親指の爪の裏側。何か薄緑色のものがあり、それはたまに光った。蓄光のストラップのようにそれは安っぽく、美しかった。

「わたしの爪、」

わたしは暗闇の中でほの暗く光りだした爪をヒロサキユウゴの方へ突き出した。

「かわいいでしょう」

目が慣れて
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