最後の発明その発光・わたしはかなしかった/初谷むい
 

「あがれよ」

「ありがとう」

靴を脱ぐ。冬のにおいが強くなる。冬の、これは灯油の匂いだ。なつかしい。なつかしいね。

「なつかしいね」

「なにが?」

わたしはヒロサキユウゴが好きだ。それはヒロサキユウゴがわたしの思想を操っているから当然と言えば当然のことなのだけれど。



?



ヒロサキユウゴ。彼は無名の天才少年だった。小六でサイコキネシスをあやつり中二でテレパシーの原理を解明した。彼のそれは大いなる科学の結果だったもののいささかオカルトに寄っていたためこのいくつかの発見は明るみにはでなかった。ヒロサキユウゴはおとなしく賢い子供だったため、彼
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