うみのほね/田中修子
 
た手首をやさしくさすっているような格好で、真さんはあたたかなお風呂に浸かっているような表情で死んでいた。
 トイレを済ませてから警察に電話をして、やってきた警察に少しだけ疑われた。遺書も何もないようだ。けれど、自殺する若者と漂流する若者は、いまどきでは珍しくないので、すぐに解放された。
 遺体はドヤドヤと警察が運んで行き、それで、お別れだった。
 真さんの部屋にまだしばらく居てもいいだろうと思ったが、きっと、もうこのマンションのユニットバスのドアを開ける勇気は私にはないことが分かっていた。
 私は高速エレベーターを乗り継いで、そのマンションから去った。

 一緒にいて気持ち良い人をまた
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