うみのほね/田中修子
 
弁当の工場で、鍋や釜をごしごし洗う仕事で、その場所には『私たちはお客様の幸せのために キレイを作る』という標語が貼ってあった。私は手首の内側の柔らかい皮を真っ赤に爛れさせながら、スポンジをきらきらした蜘蛛の巣のような泡で埋めて、キレイを作る。
 ……キレイを作りながら痒みに赤く爛れてゆくばかりの手。

 一日中家にいるようになって追いだされるかと思ったけれど、真さんは何も言わなかった。有難いな、なんて思った自分に少し驚く。便利な人、それだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。
 真さんはその便利を売っているのだそうで、朝から晩まで近くのコンビニエンスストアで働いている。黄色いアルファベットが
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