うみのほね/田中修子
利だった。けれどみんな疲れた顔をしている。どこか精神のタガが緩んでいるのか、部屋が観葉植物で埋まっていたり、仕事から帰ってくると透明なゴミ袋の中に入って小動物のように丸まって震えていたり、ユニットバスのとてもちいさな浴槽の中に寝具を持ち込んで寝たりしている、そんな人たちが多かった。
今泊まっているのは真さんという女の人のアパートで、真さんはつい半年前までヒョーリューしていたそうだ。口をはっきり開けずに、言葉をいつもやる気なさげに発音している。背が高く、髪はまっすぐ胸くらいまであって、一重まぶたで目つきが悪い。私はもう一ヶ月半ここで生活している。
今月は少ししか働かなかった。一日中お弁当
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