うみのほね/田中修子
けた純粋さもある目だった。
私たちは水の中で泳ぐようにゆったりとお互いに近づいて行く。やがて、お互いの息づかいに触れる。
彼の虹彩は果てしなく暗い色をしていて、私の顔が映っている。その私の顔の中に彼の姿がまた映り、きっと永遠に続いているんだ。
これは奇跡だ。そうじゃなかったらなんだろう。
周りが突然静寂に包まれたと思ったら雨が降り出した。黒や灰色の傘の花が開いていく。彼は辺りを見回してビルの裏手に入っていったので、私はそこで待っていた。やがて彼は黄色い傘を持ってきた。開く。
ためらいなく二人、一本骨の折れた傘の下にいる。
歩きながら彼の姿を見ると、彼は光るような浅黒
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