うみのほね/田中修子
 
の群がある集積場で寝泊りをするようになった。時間がたつうちに分かったのだけれど、そこは粗大ゴミの集積場というわけではなくて、住民たちが勝手に要らないものを放置していく場所だったのだ。シャーレの中で、少しずつパン屑を食って這い進んでいく粘菌のように、ゴミは増え、勢力を拡大してゆくのだ。たぶんここは、政府からも見放された廃棄階層なのだろう。 
 中に入って少し空間が開けた場所に、誰かがすてた林檎からたくましく育ったのだろうか、ちょうど小さいが味のある林檎の実をつけている木があり、その横にちゃんと屋根が残っていて座席もきれいに残っている車があるのを見つけたのは僥倖だった。
 あらゆるゴミの中からある
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