モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
 
て言ってたりする。
知識の多さではコンピューターには勝てないから、博識なんて滑稽にしか見えなくなるだろうな。アンドロイドの前では。
とりあえず名刺を作ってみた。空想の中でだけど。うむ。イデア(原型)としての名刺だ。なんてね。
「由比良 倖:人間」
悪くない。ロボットが聞く。
「人間は何をするのだ?(もちろん未来のロボットはスマートだから、カタカナでなんて喋らない)」
僕は悩んだよ。さあ、人間は何をするんだろう。
ロボットが胸を張って言う。
「私たちにはやることがあるんでね。失礼」
僕はそれからも、「さあ」なんて言って、煙草を続けざまにふかしてたりする。
今までしてきたこと、これ
[次のページ]
戻る   Point(0)