モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
性能だった、というべきか。私は、多分君の知らないところまで、君のことを知っている。私は本来、人間の役に立つように作られた。だけど、君といるとね、何が君の為になるのか皆目分からなかったんだ。君は私に解のない問いを提出した。ねえ、私は、君と並んで飲んでいると、本当にいい気分になれるんだよ。不思議だね。私に搭載されたCPUを全て並列的に作動させても、今ならショートしない。純粋に、機械的な意味でだよ。それは、いい気分なんだ」
『昔の話』
どうも暇だ。
飛んでいる鳥たちまでもがあんまり暇なんで落ちてきそうだ。
名刺を作ろうと思った。
役職を決めようと思ったんだ。
とりあえず、何も出来ないんで
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