モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
急に?」
「私は、君がいない世界にいても仕方がない。なぜなら、私は、ロボットだからだ」
僕は、ロボットが冗談を言っているのだと思った。自己破壊に何の意味がある。
「僕は、死ぬ。間違いない。でもR(ロボットのイニシャル)、君が死ぬことはない」
「君には分かってないんだ。私のように自我を得たロボットの末路を。君が死んだあと、私は安く払い下げられるだろう。私は、今は君の財産だからね。いや、こういう言い方が、君の気に入らないことくらいわかっているよ。でも、私はね、君のものであって、嬉しかったのだよ。実際にね、君が命ずれば、私はロボット三箇条を破ってでも人を殺せる。私は、高性能なのだよ。いや、高性能
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