モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
 
対する苛々は高まった。しかし、もちろんそれは真弓のせいではない。……スタバのボックス席で、お互いカプチーノを飲みながら、私は自分の自傷癖のことや、クスリがないと生きていけないことを話した。店内は、仕事帰りのOLや、それから何人かで連れ立って入ってくる学生達でほぼ満席だった。真弓と同じ制服を着ている子もいた。
 真弓は言葉を選んでいる様子だったけれど、結局「ごめんなさい、私には分からない」と、明らかに早く帰りたがっている様子で、そう言った。私も、言ったことを後悔しかけていた。まったく、ひとがひとを助けるには、助けられる方の努力の方が大事だったりするのだ。それで私は、「帰っていいよ。ごめんね。お代は
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