モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
 
子の制服だって、そんなに悪いものじゃ無かった。私の学校の方が偏差値は高いかも知れない。しかし私は、もう退学寸前だし、あの子は真面目そうな外見からして、成績が悪いようには見えなかった。頭が悪くても、宿題はちゃんとやって、それからカンニングはしない。そういう子が、結局一番損をするのだ。……
 駄目だ、少し調子に乗りすぎた。損をしているのは私なのかも知れない。しかし、それはある意味では私が望んだことだ。……あの後、真弓と一緒に外に出た。真弓は「マック」と言い、私は「スタバ」と言った。マック? マックになんか行くわけがない。専業作家はマクドナルドを食べたりしない。「マック」と言ったことで、私の真弓に対す
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