モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
私のライフラインは断たれてしまった。私はマンションの五階で、まるで、そう、まるで誰も助けの来ない洞窟の奥で、出ない声を張り上げているような気分。助けは来ない。宿題は、もうひと月分くらい溜まっている。提出する気はもう無い。
私は、死のうと思っている。書きかけている小説では、主人公が、私の用意したシチュエーションに飽きてしまった。そんな小説、誰が読むだろう?
学校は、うまく行っているはずだった。先週、担当教員のS川に呼び出された。理由は……、理由なんて無い。ただ、あいつは少しばかり暗くて(私は別に暗いわけではない)問題のある(こちらは正しい)生徒を呼び出して、家庭環境や何かを聞き出すのが趣味な
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