モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
押されがちな人たちが僕はなかなかに好きで、理由としては、彼らは彼ら専用のロジックで世界を解明、説明できると考えていた、思考のロマンチスト、或いは求道者だからです。馬鹿だからです。本当は嫌いです。
*再び雨、の夜
死ぬなら何回も死にました。躊躇い傷で患うのも生きるのに楽しいことのひとつになるといいね。中途半端に何かを知るくらいなら何も知らない方がいいのです。楽器の不揃いな交響楽団や、何か根本的に大事なものが欠けた集落のような知識の集合は苛々を産むだけです。何が大事かなんて、ここには全く書き表せないし、私が惹かれていく先、その光がフェイクかどうかなんて分からないし、もっともフェイクでもっともリ
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