モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
少年を。
逃亡した先で行えるのは、やっと暇つぶしだった。
煙草。煙草の灰。私が生きていることは、変なことだね。いづれ私と呼称している何かが消えることは私にとってはどうでもいいと言えばいい。存在、存在、存在。私は酔っていて、でも言葉は酔わない。キーボードで書く文章はそこが好きだ。特に何も知りたくない。脳は、高機能すぎるとは思いませんか? 無限の可能性とはいいますが、無制限すぎるだろこのやろうとは言いたくなります。家元に産まれたかったというわけではありません。デカルトやサルトルなど、現代では甚だ人気のない、つまりは科学的思考を突き詰めようとしたが故に逆に現代の科学と照らし合わせて非科学の烙印を押さ
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