モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
 
の夕方
あまり効くことの無い薬をなまぬるい水で飲んで、あいかわらず胃は痛いです。何にもしたくないです。世界は滅んでいくなあと思います。空は透きとおっています。もし、濁っているとしても結局は世界には空白の方が何かあることよりずっと多いのです。空はびっくりするくらい晴れ渡っています。空水いろの揺らがない波に満たされています。何もしたくない人間の常として麦酒を飲んでいます。YEBISUです。電線に止まったツバメは、何を思ってかじぶんの羽に付いた何かをしきりについばんでいます。ぐちゃぐちゃと頭の中が未分化でしかも人間の臭いのするものでどこまでも続いていきます。そのくせ壁だらけで、僕はばらばらになりながら
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