モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
意でご馳走が食べられるなら僕だって改心するさ。窓枠に立ててある薬の瓶に、日が当たってもやもやとした影をベッドカバーの上に作りだしていた。僕は瓶を取って、軽く振ってみた。しゃらしゃらと軽やかな音がする。
「僕たちの時代に、歴史は無いんだ達阿木くん。僕たちは、生きるために仕方なくなら、人殺しだろうがなんだろうが、好きにしたって構わないんだ。それに僕たちは実際に、殺し合いが、好きなんじゃないか?」
「僕は嫌いだ」……
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*匿名、真夜中、
目を瞑って「ヨルノソコ」を聴きながら、手動リピート、机に付けた右耳のピアスのあとがしくしくします。パソコンは高いような低いような音を立てていて、細く開
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