モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
 
空には力があってね、くうかんの、においとか、あれだよ、倫理みたいなやつのそこはかと無さだよ、そう言うのを、本当は感じ取れないと人間は駄目だよ、ゴミとまでは言わないけれど、でも、これって本当に何の言い訳なんだよ、君はさ、だってさ、僕は・・、僕はお酒だって飲めないんだぜ、……、でもな、人間、何で生きてるんだろうね?」
「知らないよ」
「それ、そういうの。君は、本当に知らないんだろうね。空の青さ、まったく測りかねるね、僕は空らしい空を見たことが無いんだ、そう、十四歳くらいだ、そのころは空にはいろいろなものが絡まっていたものだよ、たとえどう四角く切り取られようと、僕はそこに何かを描くことが出来た。よう
[次のページ]
戻る   Point(0)