モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
 
という行為の、その渦中にある人は、宇宙という概念を知ることは、とても素晴らしいことだと、まるで全てを知ったかのような錯覚に陥っていて、これ以上ない真実に近付いたつもりでいる。でも実際に知っていることは、自分がそのような感覚を持ちうる存在であるというそれだけのことだ。
 みやちゃんは、睡い、と言って、静かになった。日が傾き掛けていた。太陽が沈んだと言うよりは、太陽の光が弱々しくなるような陰り方だった。ゲームの画面は相変わらず人工的にちかちかと光っていて、いろんな色の泡が目まぐるしく弾けるようなBGMが流れていた。僕は急に床が冷たくなったような気がして、椅子の上に足を上げて膝を抱えた。……


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