モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
すには、あなたと私は寸時共同体であらねばならない。酒か薬か、どちらかでいい。エフェドリンか、エタノール、どちらか安い方。抗鬱剤を飲んでも未来はちっとも明るくならない。明るい未来が欲しいんじゃない。明るい未来なんか期待してない。話したいことがいっぱいある。はずなのに、私の喋りは誰かの何かを妨害する。書かなくてもいい何かを誰かのためにでもなく、ただ私が私であるためにグラフィカルに叩き付ける。鈍い。何もかもが鈍重に私の意識の外郭を、纏わり付くように攻め、覆いつぶそうとする。私の意識は黒く、固い、固くて滑らかな殻に包まれて、穏やかに波打ち、冷たい光を放っている。中はあたたかい。酒を飲みたい。「多分、季節の
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