モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
かったのだ。人間にもともと備わっているものがそれほど変わらないという意見には賛同しますが、それをうまく使いこなす能力には大きな隔たりがあって、それは簡単に埋め合わせられるものではないと思います。
僕はただ、強迫的な何かにせき立てられて生きているだけ。目標? そんなものは持ったことがない。いつも不和を感じている。欠落を感じている。それを正そうと、いつも疲れ切って泣きたくなるまで、自分のエゴに追い立てられている。立ち向かうには(何に?)生きて行くには、過剰になるしか無いんだ。声がかれて喉から血が出るまで叫ばなければ、誰も僕がいたことにさえ気付かない。それから多分、まともな人たちは僕を病院に放り込
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