モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
どころ、奥の方で発光している。何かが燃えているのか、あるいは人工的な光なのか。僕は、目まいを感じながら、吹き上げてくる生臭い風を、それでもかわすことが出来ない。ここは「僕にふさわしい場所」なのだ。
「あなたは何がしたいのですか。私はあなたが有能だというのはわかります。しかしあなたはあなたの時間を、一体何に使うことを望むのですか? 無為だなんて、そんな後付のジョークみたいなこと言わないでください。あなたに出来ることは、少なくありません。また、あなたが出来ることはそう多くありません。あなたは何がしたいのですか。あなたは詩人ですか? 随分怠惰な詩人がいたものです。あなたは一体、何がしたいのですか」
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