モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
 
あ、あ、無価値な私が今日も一日、生きるのだ、過ぎていくのだ、と思うと、心がささくれ立って、そして嫌な夢ばかり見る。本当は、私はとても嫌なやつだから、多分犯罪者なのに、それを隠して生きてるから。早く一億年くらい経って欲しい。書きたくないといいながら書いてる。でももう書けません。私には何も出来ません。薬をください。


近所でネコが死んだと聞いて、
喪服を用意しなければならなかった
霊柩車が事故を起こして、
ネコは正しく納棺されなかったという

(君の母さんはとても苦しんでるんだ
 と、青牛は言った)

どこまでも下っていくダストホール、絡み合う黒々とした太いパイプ。ところどこ
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