一度食べかけて、また吐く/由比良 倖
 
が、寝起きは、てきめんに、良かった。
 僕は今朝頭に映した、八桁の番号に電話をかけてみることにした。十五回呼び出し音が鳴ったところで、電話を切った。お昼には、昨日シチューを作るのに使った残りのブロッコリーを茹でて、マヨネーズと醤油を付けて食べることにした。お湯が沸くまでの間、リンゴでも囓っていようと思い、たろやんとリンゴの投げ合いっこをしていると、電話が鳴った。
「もしもし」
「あ、すいません。立て込んでいたもので」
 電話の主は、変声期の高校生みたいな声で、語尾のあとに必ず小さく咳払いをした。僕は、「よく分からないでかけたのだけど」と正直に言った。電話の主は二、三度、ん、と咳払いをして、
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