一度食べかけて、また吐く/由比良 倖
 
る。僕は、痛みも忘れて、何か言おうとしたけれど、声が出てこなかった。
「おはよう。のしや君」
 痛みに涙が出てきそうになる僕を見おろして、彼女は楽しそうに付け加えた。
「タバスコを一瓶飲んでも起きないなんて、すごいね」

 結局その日の午前中の間、僕は辛さから立ち直れず、それにしては腹部のあたりも何か痛いのだが、と撫でさすっていると、「そう言えばお腹も蹴ったの。ごめんね」とたろやんが言ったので納得した。
「何か僕に用事があったんじゃ無いの?」
「いいえ。ただ、あなたが起きなかったから不安だったんだ」
「うん。すごく目が覚めたよ」
 そんな訳で、今日も僕はあまり眠れなかったのだが、
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