吉野(その二)/tonpekep
びらが交じり合うようにして落下してきた。
金峯山とは吉野山から山上ヶ岳(大峰山)にいたる山々の総称で、“金のみたけ”という意味だそうだ。修験道の根本道場で、役行者が金峯山を開き聖宝理源大師が蔵王権現像を安置したと云われている。
その金峯山のどこからか鶯が春を染み透らせるように鳴いた。
視聴覚が美しいと震えるような一瞬がそこに完成したが、ふと、案外録音テープだったりと思ってしまった。現代人の悲しい性か。ただ、美しいと感じたことは確かで、記念に先日買ったばかりの携帯電話、FOMA F900iのカメラで黒門を撮影する。
散っていく桜の花を追いかけるようにして蔵王堂へ向かう。
たくさ
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