名乗らぬ海の心音を聴く/もっぷ
手を廻りまた
年上の子の許にもどる/神妙になって場所を
選び――そのちいさな島でただ一本の樹の陰
でこどもたちは円座になり(こどもは七人居
た)弔うように――頭を垂れてほんのすこし
だけ泣いてみる/若い男の声の残像が色彩と
なって現れ(七色の)やがて昼食だと母親た
ちに呼ばれたからいったん誰かしらのポケッ
トにしまわれて潮騒――暗転――夜空、星と
星と(……かえりたい……)ポケットのなか
から聴こえるのは名乗らぬ海の心音だった/
再びの夕日の頃が訪れこどもたちは話し合い
を重ねた結論としてロザリオをビードロの瓶
に護らせて海へと「帰るんだね」(きっと)
「帰るんだね」と
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