名乗らぬ海の心音を聴く/もっぷ
」というささやきと祝福とを添
えて――涯を悟る旅にロザリオはこの佳き日
に/かの操縦士はそれをどこかから見届けて
//未明にこどもたちの部屋を巡るものがあ
った、気配だけの訪問者はそっと彼ら一人一
人の枕元に四角い木箱を置きその上へ虹の輪
を架ける、木箱のなかの金平糖がさらにまば
ゆく在るようにと/こどもたちには魔法がか
かり、もう背丈はこの夜のまま誠実さもこの
夜のまま心の稚さもこの夜のまま/しあわせ
へと導くとは限らないのに、親たちの嘆きを
あらかじめ判っていながらも/深い眠りのな
かのこどもたちは目覚めて、まだ聴いていた
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