褐色の濃いあたりに/深水遊脚
 



 名前を知ったのは先週。終売間近のルワンダのコーヒー豆を私が200g買おうとしてマスターにお願いしたそのとき、ただならぬ気配を感じて後ろを振り向くと、彼女が明らかに動揺していたのだった。当人は隠しているつもりだったかもしれない。すぐに注文をキャンセルして、マンデリンに変えた。

「ルワンダ、お好きなんですね。美味しいですものね」
「あなたもお好きならキャンセルすることなんてないのに」
「違っていたらごめんなさい。でもあなたのほうが切実にルワンダを必要としていた気がしたのです」

マスターの手もとには計量を終えたルワンダとマンデリンがあった。気を利かせたのか、このあとの展開を楽
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