褐色の濃いあたりに/深水遊脚
になった。心理的な距離もだいぶ近くなれた気がした。少しずつカジュアルな言葉づかいになって行き、それでもこれまでの私のことを思い修正したり、そんな不格好な話し方になってしまった。でも彼女の意外な話も聞けたし、私も語るつもりのなかったことまで語ってしまった。この人になら話してもいい、そう思えたのは久しぶりだった。彼女はそう思ってくれただろうか。一つ席が近づくと見えてしまうものも多い。実をいえばタブレットで開いたメッセージが、彼女あてのどちらかといえば辛辣なトーンの言葉で埋め尽くされていたのを見た。それについてはなにも話さなかったし、話せるほど内容を読み取っているわけではなかった。逆に彼女のほうでも私が
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