褐色の濃いあたりに/深水遊脚
んか変だ。でももう言ってしまった。気持ちとしてはそうなのだからよいのと、ものすごく恥ずかしいのとで、慌ただしくいろんなことを考えて、そして、恐る恐る彼女のほうをみた。
「ありがとう」
吹き出しそうな顔でこっちをみている。やはり相当変だったのだろうか。マスターなど露骨に背中で笑っているし。余計な言葉や無遠慮な視線を挟まなかったことには感謝するけれど。でも彼女はこう言ってくれた。
「ニカラグアも好き。それより、こんなふうに奢ってもらったの初めてよ。プレゼント、ありがたくいただくわ」
そして席をひとつ移動して私のとなりに来てくれた。ちょっとびっくりしたけれど、嬉しさでいっぱいにな
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