褐色の濃いあたりに/深水遊脚
「よく似た味と香りの珈琲豆はありますか?」
「それならば、こちらのニカラグアが味の傾向としては近いですよ。華やかでフルーティーなのですが、甘味も豊かで」
「それではニカラグアを」
一呼吸おいて切り出した。
「倉橋さんにお願いします。勘定は私につけてください」
「かしこまりました」
倉橋さんは驚いて困惑している。当然だ。何を傲慢なことをしているのだ、という内なる声は聞こえたが振り切って意図を伝えようとした。
「元気になってもらいたいなと思って私からのプレゼントです。本当はルワンダがよかったのですが、なかったので、それに近い味のニカラグアにしてみました」
なんか
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