褐色の濃いあたりに/深水遊脚
 

「よく似た味と香りの珈琲豆はありますか?」
「それならば、こちらのニカラグアが味の傾向としては近いですよ。華やかでフルーティーなのですが、甘味も豊かで」
「それではニカラグアを」

一呼吸おいて切り出した。

「倉橋さんにお願いします。勘定は私につけてください」
「かしこまりました」

倉橋さんは驚いて困惑している。当然だ。何を傲慢なことをしているのだ、という内なる声は聞こえたが振り切って意図を伝えようとした。

「元気になってもらいたいなと思って私からのプレゼントです。本当はルワンダがよかったのですが、なかったので、それに近い味のニカラグアにしてみました」

なんか
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(3)