46×3/ただのみきや
 
朝の
手綱(たずな)のない 血のうねりに 告げることなく 天秤を 止めて
梨のような 尼僧の 塗り込められた 願いと 呪い
白濁し ひび割れても 腐敗せず 睥睨する 本性は
まだら模様 水音の 向こう 迷走する 盲目に餓(かつ)え
矢羽根立ち    百合のよう    幼女の手に
裸体は爆ぜ 燐光 流転 冷静な 牢獄の蝸牛よ
侘しさ      を       運河へ


飽きもせず いつまでも 生み続ける 詠嘆の 丘に
書き残す 霧の中の 苦悶 獣の 呼吸
さかしまの 白菊へ 透き通る 蝉の翅 遡上(そじょう)する歌声を
淡々と 千切り 土に還す 手の中の
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