孤独の変質/葉leaf
 
し、様々な連帯を経験してしまっている。社会的な責任を果たしていく中で、必然的に他者と共に生きている存在として自分をとらえるようになっていくし、現実の苦さは自己の聖域を作ることをもはや許さないし、他者との実存的な連帯の経験は孤独な実存を複雑化する。
 そうすると、もはや孤独は純粋なものではなくなるし、孤独が自己愛的なものでもなくなってくる。孤独はもはやそこで陶酔する幼い聖域ではなくなってしまうのである。孤独な実存は常に他者に浸食されている、つまり、人はもはやその成立においても持続においても他者との複雑な関係性を抜きにしては語れなくなる。そうであるからこそ、人間はもはや孤独と自己愛を分離してしまう。
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