孤独の変質/葉leaf
若いころの孤独というものはナルシシズムと不可分である。若いころ、人はよく孤独に陶酔する。自分が孤独であることに酔って、孤独である自分がかっこいいと思う。そのような孤独な陶酔する主体が書いた詩というのは数多くあり、若い孤独を失った人でも詩を書くときはいっときその幼い孤独を取り戻すかのようだ。だが、このような狭隘なナルシシズムから生まれる文学が人間の全的な表現になるとはとても思えない。自己の殻にしっかり閉じこまってしまった状態で、人間や世間の総合的な表現など不可能であろう。
人間の成熟に伴って、孤独はその構造を変えていく。もはや人は社会的に無責任ではないし、現実を直視するようになってくるし、
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