赤いぼろきれと蜘蛛/田中修子
にきました。
家の中からは、まじめに働く町の人をあざ笑う声がします。町長さんちの家の子は、こじきの女の子が一番つらい時に、石をぶつけてきた子どもでした。
「やめた」
難しい本を読む先生の家へ行きました。
その先生は、こじきの女の子がいじめられていたときに、みんなの先導にたっていじめてきたことを思い出しました。
「やめた」
売春婦たちのところへ行きかけました。
古い傷が痛んで、背中がざわりざわりと汗にぬれそぼります。
「やめた」
お寺へゆきました。
住職さんが札束を、指をなめながらめくっていました。小僧さんたちばかりが苦しそうに働いています。黒人の男の子は、お肉が
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