赤いぼろきれと蜘蛛/田中修子
 
こじきの女の子との会話。
こじきの女の子が、いくら部屋を散らかし、小さい虫を呼んでも、もう何も口にしません。

ベッドの上で、大きなはえとり蜘蛛が、どんどん細くなり、どんどん灰色に干からびていくのを、こじきの女の子は黙って見つめていました。
はえとり蜘蛛が最後の息を引き取るその瞬間、醜いからだから、世にも美しい男に変身しました。
こじきの女の子は、その姿を見て、最後の恋に落ちました。
もう遅いというのに。

そのあと、こじきの女の子がどうなったのかは分かりません。
部屋はからっぽで埃だらけ。

つつじで染めた布だけが、赤い亡霊のように部屋の隅にころがっていました。

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