赤いぼろきれと蜘蛛/田中修子
 
る)
 「お前は人じゃないから好き。大きく、大きくおなり」
 (僕はあなたを幸せにしたい。僕はあなたと幸せになりたい)
 「お前はしゃべらず、優しく、うちをきれいにしてくれようとする。なんて素敵な存在だろう。ただ、大きく、大きくおなり」

やがて、はえとり蜘蛛はこころが空っぽになっていくのを感じました。
伝えられない分、ご飯を食べてゆくばかり。
むしゃむしゃ、むしゃむしゃ。
ああ、腹ペコなのは心なのに、それを埋めることはできないのだから、食べるしかありません。
大好きで大好きで、こじきの女の子を、小さい虫のように食べてしまいたいと願うようになりました。

(僕はあなたを愛して
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