赤いぼろきれと蜘蛛/田中修子
 
蛛の餌のやり方は、不思議と分かっていたのです。こじきの女の子は、意気揚々と部屋に帰ります。一瞬の果ての間、はえとり蜘蛛はじいっと待っていてくれました。

安寧な日々。
はえとり蜘蛛が小さい虫を食べて生きるので、部屋の掃除もしませんでした。
小さい虫がやってきて、はえとり蜘蛛のおいしいご飯になるからです。
自分のすべてをささげ、可愛がりました。

しかし日々にも終わりが来る。
やがてはえとり蜘蛛は、いままでの男と同じように、こじきの女の子を愛するようになってしまったのです。

 (僕はかっこうよくもない。できることといったらほんのわずか。そんな僕にあなたは見つめて微笑んでくれる)
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